TsukihimeRの生態

わたしの生き様だよ。見たいだろう?

ある男と女の話1

 中学生の頃、野球部に所属していた少年は三年生になって部を仕切る立場にいました。しかし、残念ながら少年はそこまで上手ではなく、後輩になめられ、うまく部をまとめられずにおりました。

 少年は卒業しました。はたから見れば何も変わりなく。そこそこの結果を残して。一人の先生は言いました。

「あいつはなんだか一皮むけたようだった。」

 間違ってはいませんでしたが、核心に触れることはできませんでした。

 

 少年は確かに一皮むけたかもしれません。しかし、ここで重要なのは結果ではなく過程。"どうなったか"ではなく、"なぜそうなったか"。

 少年が決めたことは三つ。一つ、高校で野球はやらない。二つ、中学を卒業したら家を出る。三つ、だから今関わっている好きでもない人間とのこの先の関係を気にしない。

 驚くほど人生が楽なものになった。ストレスの大半は人間関係だった。なぜか野球が上手くなり、野球を辞めた後は好きじゃない人間と会うこともなくなって更に楽になり、勉強の成績も上がった。

 彼は人と付き合わないという選択肢をしってしまった。疲れない生活の味を知った。

 

 だから。